千組千曲選 No.0025 筋肉少女帯 / いくじなし

小学生時代の私には大槻ケンヂといえば“テレビに出ている人”で、そのイメージから来る思い込みもあり、バンド名や見た目も含めて彼らはただのコミックバンドだろうというイメージしかありませんでした。しかし中学時代に彼らの音楽にまともに触れたことで、歌詞も含めた筋少ワールドに深く傾倒する危うい思春期を過ごすことになったのです。

“いくじなし”は1988年のミニアルバムSister Strawberry収録曲。インディーズ時代には既に存在していた楽曲ですが、このアルバムバージョンの衝撃たるや。今でもこの曲を何とカテゴライズすべきか迷います。エディが弾くピアノの美しさが最高の華ですが、要所を固めるアンサンブルも見事。そしてやっぱりオーケンの歌。

これは歌とは言えないかもしれませんが、旋律が無くともリズムがあります。演奏から逸脱しそうで踏みとどまる絶妙な感覚。彼らのこの時代にあった空気感を閉じ込めた、不世出の名曲です。