千組千曲選テーマ別まとめ第八弾は、1990年代にヒットした名曲を21曲紹介します。
青春時代だけあってヒット曲と限定しても候補がいっぱいあり、1970年代と同じ数を選出できました。時代を振り返りながら進めていきたいと思います。
1990年の名曲
KAN / 愛は勝つ
スーパーポジティブな歌詞がリズミカルなポップスに乗って力強く歌われる、恋愛の応援歌と言えばコレな名曲です。
壮絶なバッシングによって1990年代後半以降一気に露出が減りましたが、この当時の山田邦子さんの存在感・影響力はとてつもないものがあり、この歌も彼女の番組で繰り返し流されることで大ヒットに繋がりました。替え歌(チキンカツ)が頭にこびりついた方も多かったのでは。
1991年の名曲
大事MANブラザーズバンド / それが大事
引き続き山田邦子さんの“やまかつ”使用で大ヒットとなったこちら。言葉の並べ方が巧みでつい口ずさみたくなる自分応援歌の代表的な名曲です。
売上的に一発屋扱いされることが多いバンドですが“キボウ”や“賽は投げられた”など、その後に聞いたタイアップ曲も記憶に残る良曲がありました。明るく前向きなJpop好きには彼らの他の曲もおすすめです。
Nirvana / Smells Like Teen Spirit
ロックの潮流を変えることになった不世出の一曲・・・なのですが、この曲のヒットをもってすぐに世間が変わったような見解には疑問。正直1993年位までは日本も世界もエイティーズ的浮かれ空気は十分に残っていました。だからこそこの曲(彼らにしてはキャッチーですが)はインパクトがあったと思います。
個人的に彼らの作品はNevermind以外正直それほど好みませんが、バンドの本質的にはラフなパワー溢れる他の作品の方が“正しい”のだろうと感じます。いいよ、わたしゃヘビメタ野郎だから(世代的ひねくれ)
1992年の名曲
Ace of Base / All That She Wants
女性2人、男性2人でスウェーデン出身と“1990年代のABBA”と称されたグループによる一大ヒット曲。レゲエ的なリズムと浮遊感あるシンセの音色に乗せて紡がれる、力強い女性ボーカルによる奇妙なマイナー旋律は中毒性たっぷり。昔私の母が何度も何度も車で流しておりました(懐)
残念ながらその後ABBAほどの継続的支持を得るには至りませんでしたが“Beautiful Life”や“Life Is a Flower”等、その後も1990年代版スウェディッシュポップの雄にふさわしい名曲を生み出した名グループです。
Soul Asylum / Runaway Train
1993年6月に当時のミッシングチルドレンの情報を求めるPVで話題となり大ヒットとなった出世曲。アコースティック楽器による音色の美しさとデイヴ・パーナーの気だるさをまとったボーカルに心地よく包まれる名曲です。
Runaway Train 25というサイトではこの曲のカバーverと共に最新のミッシングチルドレンの情報を求める作りになっており、PVの精神が受け継がれています。まあアレンジは絶対オリジナルが良いと思うのですけど(蛇足)
Dr. Dre ft. Snoop Dogg / Nuthin’ but a “G” Thang
G-Funkの頂点にしてSnoop Doggy Doggを世に送り出した歴史的な一曲。Leon Haywoodの“I Want’a Do Something Freaky to You”をベーストラックに、スヌープの穏やかで流麗なラップが“癒し”を感じさせてグッドです。
この曲は中学校入学前後のスポーツ用品店で鬼のように流れていて、当時全くラップを知らなかった私でも特徴的な”Ain’t nuthin’ but a G thang, baby – Two loced out niggas going crazy”の部分は記憶していました。後に改めて追いかけるとは思いもよりませんでしたが。
1993年の名曲
Cypress Hill / Insane in the Brain
B-Real(チカーノ系)、Sen Dog(キューバ出身)、DJ Muggs(イタリア系)という多種多様な人種で構成された異色のラップグループによる大ヒット曲。ベーストラックもサンプルの組み合わせが絶妙で、独特なラップと併せてクセの強さが堪りません。
2000年頃は結構ラップメタル的な音像になっていたこともあって、私が最初にラップに近づくきっかけとなった思い入れ深いグループ。WWF(プロレスの方、現WWE)でも彼らの姿を観ましたね。懐かしい・・・
Shaggy / Oh Carolina
1960年に発表されたFolkes Brothersによるスカの名曲を、レゲエ風にアレンジして成功したヒット曲。曲調もさることながらシャギーの何とも言えないおっさんボイスが衝撃的で、一度聴いたら忘れらないインパクトを持っていました。
本人を知らず、その声から結構長い間太っちょで年取ったおっさんをイメージしていた私は、初めて映像を観た時ビックリしました。未だに声と姿のイメージが合わないアーティスト上位に入ります(笑)
trf / EZ DO DANCE
その後の記録的な大ヒット連発に比べればまだ大人しい(ただしロングラン)ヒットだった、小室哲哉プロデュースの、いわゆる小室ファミリーブームの先陣となった名曲。ジュリアナ風のダンスビートがそのまま耳馴染みのよいポップスに繋がっていく構成は実に見事です。
小室ファミリーは正直リアルタイムでは敬遠していたので愛聴する曲が少ないのですが、この曲は今聴いても素晴らしいですね。
access / MOONSHINE DANCE
小室哲哉と同じくシンセサイザー系プロデューサーとして多くのアーティストを手掛けた浅倉大介と、ボーカル貴水博之のユニットによる名曲。SYNC-BEATと名付けられた打ち込み主体にハードなロックギターを融合させたサウンドは、1990年代の新しい音楽と思わせる新鮮さがありました。
私は小室系より浅倉派だったので、彼のプロデュースしたアーティストは色々と聴いておりました。TMR以外はそれほど大きな成功を収めませんでしたが、今でも好きな曲は多いです。
1994年の名曲
The Offspring / Come Out and Play
跳ねるようなサウンドに絶妙な中近東フレーズを差し込んでノリノリのポップパンクを完成させた、その後も類稀なるポップセンスを発揮してメロコアの一大巨頭となる彼らの記念すべき第一歩となる名曲です。
不思議な世界で彼らもGreen Dayも売れたから“セルアウトした”なんて言う人がいて、大嫌いな産業ロックという言葉もそうですが、何故多くの人に称賛され親しまれることになったら貶さないといけなくなるのですかね。オフスプはなんか特に攻撃されていたので嫌な記憶がありました・・・(今の人にはどうでもよい話ですね、すみません)
Weezer / Buddy Holly
2分半ちょっとという黄金の3分間ポップスプレイタイムの中に、奇妙だけどとてもポップで耳を惹くフレーズがたっぷり詰まった彼らの代表曲。良くも悪くも彼らのイメージを固定付けてしまった曲ですが、それも名曲ゆえですね。
この曲で忘れられないエピソードといえばWindows95のディスクにPVが入っていたことでしょう。あの世界の在り方を一変させたOSに、古臭さを装う変わり者のPVが入っているのはアンバランスな魅力があります。ビルゲイツが歌の主人公にシンパシーを感じたのかもしれません。
1995年の名曲
Pulp / Common People
90年代ブリットポップムーヴメントを代表する一曲。歌詞といい曲調といい当時の“イギリスっぽさ”が全開で、聴き直す度にその空気感が懐かしくて浸ってしまいます。もちろん曲自体の完成度が高いからですが。
歌の内容からも強烈な反骨精神を持つボーカルのジャーヴィス・コッカーによる、1996年ブリットアワードにおけるマイケル・ジャクソンへの抗議行動も有名です。リアルタイムでは映像が観られずジャーヴィスが暴れたような話で非難の声が大きかったのですが、その後色々知ると・・・。まあ、喧嘩はよくない(とぼけ)
1996年の名曲
Prodigy / Firestarter
テクノやクラブミュージックを基幹にロックサウンドを取り入れ、ドラムンベース等の魁ともなったバンドによる世界的な大ヒット曲。年齢的にクラブなんて遥か遠い世界の話だった中学生の私でもこの曲を聴くと踊りたく、というか暴れたく感じたものでした(笑)
2000年前後の長い休止期間を経て復活後もイギリスでは根強い人気を誇り、近年も変わらぬクオリティの作品でファンを喜ばせていたのですが・・・
安室奈美恵 / Don’t Wanna Cry (Radio Edit)
trfで記載の通り小室ファミリーを敬遠していた私が、リリース当時から好きで愛聴した数少ない曲の一つ。いかにもブラコンR&Bにありそうな曲調だけど、Jpop的キャッチーさを失わないメロディ構成の巧みさが見事にハマっています。
アムラーを生み出し社会現象にまでなった人気が翳っても地道に活動を続けられ、引退時には改めて敬われ多くのファンに見送られた姿には素直に敬意を表します。個人的嗜好にはあまりマッチしませんでしたが(余計)
1997年の名曲
The Rolling Stones / Anybody Seen My Baby?
高校時代に初めてケーブルテレビで音楽専門チャンネルを観るようになったとき、ビデオの雰囲気もあってなんだか凄く大人になった気分を味わえたのがこの歌でした。いかにも時代を感じさせる絵と曲調、懐かしくて涙が・・・(おっさん)
ストーンズは正直私の好み常道からは外れた位置に存在するバンドですが、それでも時代を捉えた感覚が鋭く響く数多くの名曲があります。世評的にやはり60年代~70年代初期が取り上げられがちですが、苦手な方はあえて近年の作品から接していかれるのもよいと思います。
1998年の名曲
Beastie Boys / Intergalactic
ヒップホップをロックフィールドに持ち出して成功を収めた先駆者である彼らによる、ヒップホップ寄りながら独自センスが光る名曲。センテンスの区切りに一々入れるベタベタなキメも、彼らがやってこそサマになる魅力です。
2012年にリーダーであるMCAが癌のため若くして亡くなり、正式に活動を終了しました。ジャンルを超えた偉大な存在として歴史に名を刻んだ彼らですが、そんな風に気負わずにパーティーなノリで楽しんで聴くのが正しい姿勢かと思います。
Britney Spears / …Baby One More Time
世紀末アイドル・ブリちゃんのデビューにして大ヒット曲。キャピキャピした1980年代アイドルポップスとは異なるディープなノリはまさに新時代を思わせ、未成熟ながら重心の低い彼女の声と見事な相乗効果を生んでいます。
この時代の売り方は完全にGirl next doorでカワイイという感じだったのですが、ほんの2~3年でセクシー路線に行ってしまったのは芸能界の闇を感じさせましたね。まあ世の中の男的にはそれでハッピーだし、その後の大復活も大人路線に行ってなかったらあり得なかったのでよかったのかもしれません。
宇多田ヒカル / Automatic
日本のポップス史を変えたとまで言われる天才の第一歩。個人的にこの曲のインパクトが絶大過ぎて、その後の彼女の作品は世間での大ヒットの割にそこまで愛好していないのですが、それもこの一曲に心を奪われたからこそ。正しく和製R&Bの歴史的名曲です。
印象的なPVも記憶に残りました。といっても最初に思い出すのは笑う犬でオセロ中島さんがパロディしていた方なんですが・・・(笑)
椎名林檎 / 歌舞伎町の女王
世紀末女性スター3連発、最後は林檎姉さん。小説『不夜城』や雑誌の裏社会特集で新宿歌舞伎町に“ワルへの憧れ”を抱いた高校生にとって、この歌はまあドンピシャでした。全く想像だけの世界でしたけど。
正直言って彼女の曲はこれ以外ほぼ愛好していないのですが、あの時代感を懐かしみながら、この歌を時々歌舞伎町近辺に行って聴き続けたいと思います。・・・お恥ずかしい(笑)
1999年の名曲
GLAY / Winter, again
1990年代後半に大ヒットを連発した彼らによる冬の名曲。同じく代表曲である“However”と同じく、地味なAメロから一転して盛り上がる長いサビを持つパワーバラードで、その振れ幅が一層感情を昂らせてくれます。それもあって現アラフォー世代のカラオケ定番曲ですね。
そういえばヴィジュアル系は単体でまとめるつもりでしたが、GLAY取り上げてよかったのかな・・・まあヒットしていた頃にはもうヴィジュアル系として捉えられていなかった気がするのでよしとします。
以上、21曲をご紹介させて頂きました。1990年代は青春時代だけにヒットした曲も多く心に残っており、千曲選ぶ段階でもどれを取るか苦労した記憶があります。
一方、次の年代からは世の中の流行から離れて生きるようになっていったので一気に曲数が減ります。それでも何とか1年1曲ずつは選出してみたいと思います。
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