NW-WM1ZM2レビュー ~というほどでもない一愛好家の感想

NW-WM1ZM2を購入して

ソニーのハイエンドウォークマンNW-WM1ZM2を購入しました。発売から半年が経ち、専門家による数多のためになるレビューも存在する中でたかが一愛好家が恐縮ですが、個人視点の実際の感想を書くことで少しでも気になる方の参考となれれば幸いでございます。

目次

NW-WM1ZM2の魅力:ハード面

美しい金ぴか。画面の中も金のあしらいは多い

いきなりですが、筐体の詳細な仕様や拘りについては公式サイトの説明をご覧ください。

どうです、ワクワクするでしょう。まあ私にはほとんど理解できないのですけど(正直)、内部の拘りに関しては出てくる音が何よりの証拠です。私の方では使い勝手として大きさや重さなどから感想を述べたいと思います。

外形寸法と重量

カセットウォークマン世代には何ともない・・・と言うには大きいし重いか

最大外形寸法はおよそ幅80.5mm×高さ142.5mm×奥行21.0mmとのこと。純正ケースに入れるともう少しだけ大きくなって厚みもあるため、手で持ち歩くのは少々厳しいサイズ感です。

また重量も約490gで結構ズシリとくる重さとなっており、元々片手操作を考慮している作りでもないので携帯性はよくありません。まあこの辺りは他社のハイエンド機種でも似たようなところがありますし、ある程度のデカさ重さは音質とトレードオフになっている感があるので、不満とするような話では無いと思います。

Type-Cの採用と左側面

ケースそのままでmicroSD抜き差しが可能。鞄で持ち運び時にはHOLDを

さらばWM-PORTよ・・・

まあZX300の後継であるZX500の時点でType-Cが採用されていたので必然的な流れだったのでしょう。WM-PORTに10年以上苦しめられたお世話になった者としては寂しくもありますが、Type-Cケーブル一つで全てが賄える状況は普通に有難いです。あとはiPhone(社用携帯)お前だよ!

HOLDスイッチは持ち歩き、というより鞄に押し込むような運用のためなので普段は使いませんが、物理スイッチはやはり安心感があります。microSDの抜き差しもしやすく、この辺りは携帯音楽プレーヤーらしい作りです。

右側面の物理ボタンが使いやすい

ケースを付けても操作しやすい、分かりやすすぎるボタンデザイン

デザイン性よりも使いやすさという花より団子な私には、ダイヤルや一つのボタンを二度押し等で機能を分けるのではなく、ダイレクトなボタン操作が最もよいです。電源ボタンに音量調整と再生操作、見ただけで分かるこのシンプルさ。

私にはこれで必要十分ですが、何か一つファンクションの割り当てボタンがあってもよいかなと思いました。イコライザー設定の切り替えやDSDマスタリングのオンオフ等、画面を閉じていても変えられると便利かも。まあ私はほとんど使わないので一般論としての提言とさせて頂きます。

NW-WM1ZM2の魅力:ソフト面

※ここからの画面キャプチャ画像はクリックして頂ければ拡大されます

ソフト面での大きな変更はやはりandroid OSになったこと。初期設定時にGoogleから色々確認画面出されたり、使わないのに勝手にいろんなソフトがデフォルトで入れられたりと正直げんなりしますが、使い始めると・・・

androidの利点

スマホで見慣れた形だが、電話は当然無い

やはりPlayストアの恩恵は絶大で、ストリーミングサービスが公式アプリですぐに始められるという利点はかなり大きいと思います。ここはLinuxや独自OSだと導入に手間が掛かるため、素直に歓迎したいポイントです。

なお私はいちいち画面を触るのも面倒なので画面ロック自体を無しに設定しています。過去のウォークマンと同じように使いたい方にはおすすめです。(もちろんセキュリティ上不安な方はロックを)

導入アプリ例

現在導入しているのはAmazon Music Unlimited契約済みの「Amazon Music」と、オーディオ機器接続用の「USB Audio Player PRO」。どちらもウォークマンの可能性を広げる使い方ができて気に入っております。

Youtubeも時々使いますが、動画用途なのでタブレットほどは使いません。もちろん音はもったいないほど良いです。

CPU/RAMについては・・・

音に関する作りこみ、そしてandroid機としたことでNAPとしての使い勝手も大きく向上したNW-WM1ZM2ですが、CPU性能やRAM容量に関しては必要最低限という印象で、タスクが多いと結構動作が重くなる場面もあります。再生しながらブラウジング等は別途スマホでやった方がストレスが溜まらないでしょう。

ゲームは・・・まあ言うまでもないですね(笑)。ただもし演算性能を上げることが音質的に大きく悪影響を与えないのであれば、同一筐体でゲーミング性能並のモデルというのもあれば面白い気がします。まあピュアオーディオ嗜好者には「スマホでやれ」と怒られそうですけど。

ウマ娘を入れてみたが、メイン画面に移行する前に重すぎて断念(しかしこの時点で素晴らしい音だった)

ミュージックアプリ:再生に関する機能

さて、ハード面とソフト面について簡単に書いてきましたが、実は私がハイエンドモデルを買うならやはりWalkmanしかないと思うに至った大きなポイントが再生に関する機能に存在します。これはSonyの再生ソフトを使い続けたことで「無いことがとても不便に感じてしまう」ものです。

ライブラリの探しやすさ

膨大な音源を所有している者にとって、デフォルトプレイヤーにおけるライブラリの探しやすさは評価にかなり影響する項目です。正直私が出資したPonoや音にSonyと同等惚れ込んだAstell&Kernの常用を諦めた理由の一つに、ライブラリの索引機能が貧弱であると感じたことがあります。以下画像はSonyがよいと思える一例です。

シャッフル→再生リスト→プレイリスト登録の有難み

こちらは結構ニッチなニーズかもしれませんが、Sonyさんのプレイヤーにおける再生リストの存在が素晴らしいというお話。

私はその時々の気分に応じて適当なプレイリストを作り、シャッフルして楽しむということをよくやります。最近だとプレイリストの曲数は少なくとも100曲、多い時は1,000曲を超えることもあり、これを全部聴くには相当時間が掛かる話です。

一方で新しい楽曲を購入したり、ふとプレイリスト以外の音楽を聴きたくなったりして再生した場合、再生状況は当然一旦リセットされるので再びプレイリストに戻ってシャッフル再生をすると1からとなります。別にそれでいいじゃないか、と言われればそうなのですが、一度聴いた曲よりもプレイリストに残る他の曲を聴いていきたいので若干集中力が削がれてしまい、気持ちよく聴き続けられなくなるのです(性格的なものが多分にあると思いますが)

そこで活躍するのが再生リストです。具体的な流れは以下の通り。

こうしてシャッフルしたリストを残すことで、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしても一度聴いた曲を飛ばすことをせずにランダムに生成されたプレイリストを楽しめます。本当、これ私の中で一番重要な機能です。

なお他のアプリでも「再生待ちリスト」や「キュー」等で同様の操作が行えるものはありますが、デフォルトプレイヤーでは意外にこれを備えていない会社が多いです。重要ですよ!ここにいるおっさんにとっては(笑)

少しだけ残念なポイント

この画面が出るようになると

ミュージックアプリは総じて使いやすく満足しておりますが、少しだけ残念なポイントについても記載します。それはプレイリスト作成機能で150曲を超えた辺りから処理に時間が掛かるようになることです(上画像参照)。それ以下の場合はとてもサクサク追加できるのですが、一度こうなると毎回一拍置かなければならず、なかなかストレスが溜まります。

この重くなるプレイリスト問題は以前からあり、ZX300時代にはブックマーク機能というものがあってプレイリストよりもサクサク動いていたのでこちらを使っていたのですが無くなってしまいました。仕方がないので今は100曲ほどのプレイリスト作成を繰り返して後でまとめて追加することで対応していますが、今後アップデートで解決されれば嬉しいです。(まああまり同様の悩みがある人はいなさそうですけど)

あともう一つ、曲を複数選択できるインターフェースも欲しいです。一曲一曲操作して追加していくのは地味に結構辛いので。こちらは多くの方が感じるポイントではないでしょうか。

過去の所有Walkmanと音比較

歴代ウォークマン揃い踏み・・・というわけではなかった

ここからは実際の音についてです。Walkman信者らしく所有している過去の機種たちと音比較をしてみます。今年購入した最新携帯Xperia 1 IVはイヤホンジャックを備えており、音のレベルも十分に高いと感じておりますのでこれも一緒に比較へ加えます。

過去の購入履歴を見るとNW-E015もあったはずなのですが、15年前のものなので見つからず・・・。あと出資したPono Player(メタリカモデル)は物入の奥深くに眠っているので今回は諦めました。まあSony祭りということで。

比較は同一音源、イヤホンもベイヤーのXelento remoteを3.5mmステレオミニプラグで接続という同条件で行っています。

※当たり前ですがイヤホンが変われば以下の感じ方は異なってくる可能性がありますので、ご留意下さい

比較曲:Queen / Somebody to Love [Studio Collection 320kbps MP3]

NW-S756 [音量:7]

1周目:ピアノがキラキラ / 音に団子感がある / ベースが籠り気味に聴こえる
2周目:当然の落差でよりおもちゃ感を感じてしまう

NW-A26 [音量:7]

1周目:見通しがよくなった / ピアノはややちゃちな聴こえ方 / ベースは涼やかで意外に重たくない
2周目:ピアノは同様の印象だが、全体としては意外に悪くない

NW-ZX300 [音量:40]

1周目:コーラスが広がった / 楽器の音に不自然感が無くなった / ややベース過多に感じる
2周目:ドラムが入ってくるとNW-A26との差を感じた / 重心は低め

Xperia 1 IV [音量:1/3ほど]

1周目:さらに広がる、ボヤっとはしない / ややシンバルの音が刺さる印象も
2周目:ZX300よりも全体的に美しい音でうっとりする / ただシンバルはやはり気になる

NW-WM1ZM2 [音量:45]

1周目:音場感はそれほど変わらない / ダイナミクスが大きく感じられる / コーラスの厚みが素晴らしい
2周目:ドラムが入る場面での差が更に拡大 / 楽器も歌も元気な音になった印象

A26で今聴いてみても意外に悪くないと思えました。MP3がライブラリの中心だった時代であれば、S756→A26の変化で十分に良い音へステップアップしたと感じられていたということですね。

逆に言えばZX300→WM1ZM2へのステップアップは、MP3であればコスパが悪いと感じそうでおすすめできないと思います。もちろん差は十分にあると言えますが、価格差が価格差なので(汗)

※念のため、本比較ではアップスケーリングやイコライザー等は全て使用しておりません。MP3もこれらを用いればより機種の進化を感じることができる可能性があります

比較曲:Imagine Dragons / Thunder [44.1kHz/16bit flac ripping from CD]

NW-S756

※この時代flac対応していなかった・・・

NW-A26 [音量:7]

1周目:最初の音が既にややしょぼく感じてしまう / Thunder…(0:22~)は遠い
2周目:どうしても籠っているように感じる / 曲の良さを感じないレベルで少しショック

NW-ZX300 [音量:40]

1周目:WM1ZM2ほどでは無いが広がりもあり、音もきれい / Thunder…時点における解放感はXperiaより上
2周目:音の分離も十分 / Thunder…からの解放感がやはり素晴らしい / 強いて言えばやや低音寄り気味かも

Xperia 1 IV [音量:1/3ほど]

1周目:やや遠く感じる / きれいな音だが、Thunder…からの解放感が薄い
2周目:やはりZX300の方が気持ち良い

NW-WM1ZM2 [音量:42]

1周目:空気感が違う、素晴らしい / Thunder…が始まるともはや頭は桃源郷
2周目:求めるThunderがここにある、以上

容量に余裕が出てflac時代となった時のA26→ZX300というステップアップの意味が十分に感じられる聴き比べでした。MP3ではZX300よりも音が良いと感じていたXperiaでしたが、今回はZX300が上という感じ方に。この辺りは曲の相性もあると思います。

しかしWM1ZM2は正直レベルが違います。もうなんか細かく言わずとも音を聴いてくれれば分かるという程度に。Imagine Dragonsがイマイチという方は、再生機器を変えて聴いてみるとファンになるかも・・・?

比較曲:Jiří Bělohlávek / Smetana Má Vlast with Czech PO (2014) – 02 Vltava [96.0kHz/24bit flac from mora]

NW-A26 [音量:8]

とにかく空間が狭い、音が窮屈 / 楽しめるとは言えないレベル

NW-ZX300 [音量:50]

管楽器の響きがもう違う / しかし主題に入っても、もやっとしている / あまり広がりを感じない

Xperia 1 IV [音量:3/5ほど]

主題でかなり広がりが出た、ようやくオケらしい感 / ただ全体を見通せる感はなく、やや漠としている

NW-WM1ZM2 [音量:60]

ダイナミクスが全然違う、この音量でもうるさくは無い / 音色が定位され、個々が輝くことで全体が広がる。べた惚れ(自覚)

オーケストラでかつハイレゾ音源となると、その差はさらに歴然という印象です。以前はZX300で十分に楽しめていた音源なのですが、WM1ZM2を聴くようになって「もう戻れない・・・」感が大分出てしまいました。クラシック愛好家については言うまでもなく上位機種をおすすめできると思います。

最後に

というわけで慣れないオーディオ関連記事第一弾としてNW-WM1ZM2のことを取り上げてみました。今後聴き比べや何か変化がありましたら、追記していきたいと思います。

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