
千組千曲選テーマ別まとめ第七弾は、1980年代にヒットした名曲を19曲紹介します。
エイティーズ、それは魅惑のとき・・・と現在は好意的に懐かしむ方が多い時代ですが、私の青春時代である1990年代には悪しき文化として徹底的に嫌う風潮がありました(まあ尖っていた世代だけでしょうが/笑)。私は昔から好きなものは好きタイプの人間なので、それこそ幼少期から長く親しんでいる楽曲が多いです。

1980年の名曲
The B-52’s / Private Idaho
一般的な大ヒットではありませんが、1980年代メジャーシーンに大きな影響を与えたニューウェイヴの代表的な存在として。このノリの良さと頓狂なボーカルは一度ハマると癖になる魅力を持っています。
個人的には1994年の映画『フリントストーン/モダン石器時代』にBC-52’sとして提供していた“(Meet) The Flintstones”のカバーの印象がより強いのですが、全盛期はやはりこの時代だろうということで。
1981年の名曲
Daryl Hall & John Oates / Private Eyes
過去にMTVやPV系音楽番組を観る習慣があった方なら一度は絶対観たであろう、エイティーズビデオヒットの大定番曲です。みんなで叩こうハンドクラップ。
口ひげアーティストと言えばフレディ・マーキュリーかジョン・オーツかという位のトレードマークで記憶している方も多いはず。後年テレビで髭無しで出てきたとき、正直誰だこいつと思ってしまいました(笑)
Loverboy / Working for the Weekend
邦題は“それ行け!ウィークエンド”。邦題の軽さがしっくり来てしまう位ポップで弾けるような明るさのサビが堪らないナンバー。息の長いヒットで徐々に浸透し、後の時代にエイティーズを懐かしむ感じで使われることが多い印象です。
彼らはアルバムを聴くと意外にというか、わりと硬派な感じのロックを聴かせてくれます。でもその隙間を埋めるように登場してくるキーボードがきっちりエイティーズなので、まあやっぱり時代のバンドですね。
1982年の名曲
Boys Town Gang / Can’t Take My Eyes Off You
邦題は“君の瞳に恋してる”。元は1967年にフランキー・ヴァリが発表した曲で、映画『ディア・ハンター』で歌われる場面が出てくるほど既に人気もあった曲なのですが、日本ではディスコ調にアレンジされたこのバージョンが大ヒットしました。
原曲からロマンチックなムードを彼方へ飛ばし去り、アゲアゲハッピーなダンスチューンへと変貌させたアレンジは見事。IQはかなり下がりましたが(笑)、私は大好きです。
Asia / Only Time Will Tell
プログレシーン出身者によって結成されたスーパーグループによる1982年のメガヒットアルバムから、静から動へとダイナミックな振れ幅で劇的に盛り上がるこの名曲を。シングルとしてもそこそこヒットしました。
ウェットン/ダウンズのポップセンス大爆発な初期名盤において、スティーヴ・ハウ先生の独特なリズム感が一人プログレを引きずっているようで大好き。決して下手くそなんじゃないぞ!(まあそう聞こえるけど)
1983年の名曲
Culture Club / Karma Chameleon
邦題は“カーマは気まぐれ”。世界中でチャートNo.1を獲得した、彼らにとってもエイティーズにとっても代表的な名曲。ポップなメロディに乗る言葉遊び的な歌詞の口ずさみやすさは非英語圏の人間にもインパクト大でした。
どうしてもセクシュアリティに関する話が切り離せない彼ら(というよりボーイ・ジョージ)ですが、たった数年のうちに世界中に支持される数々の名曲を生み出したバンドとして、まずは音楽から彼らに興味を持ってほしいですね。
Cyndi Lauper / Girls Just Want To Have Fun
元はロバート・ハザードというミュージシャンによる男側から見た軽い女性を歌った曲でしたが、シンディによって女性目線の楽しさを求める歌に生まれ変わり、世界中で大ヒットを記録しました。
昔の邦題は“ハイ・スクールはダンステリア”。このいかにも軽そうな表現は本人から苦情を引き出し、現在はカタカナ表記に変更されています。原曲にしろシンディのイメージから名付けたにしろ、結局男ってやつは・・・(苦笑)
1984年の名曲
Philip Bailey & Phil Collins / Easy Lover
ミドル域のコリンズとファルセットのベイリーとのハーモニーが美しく響く大ヒットナンバー。この組み合わせでバラードタイプではなく、アップテンポで劇的なR&Bなのがとても良かったと思えます。
コンビ名義の発表ですが、もう一人忘れてはいけないのが共作者であるネイザン・イースト。後のFourplayでも魅せてくれる、躍動感溢れるベースプレイも必聴です。
Foreigner / I Want To Know What Love Is
英米を筆頭に世界中でバンド史上最大のヒットとなった名曲。幻想的なイントロから聖歌隊をフィーチャーした大々的なコーラスまで、80年代型パワーバラードの鉄板として愛され続けています。
邦題の“アイ・ウォナ・ノウ”は、カタカナ省略の典型。なんか時代的にもうちょっと頑張って付けられたんじゃないかなあ、と思います。
Wham! / Freedom
ジョージ・マイケルの才能が大爆発した年の一曲。能天気なイントロにガクッと来ますが、陽気な進行に絶妙な哀感を織り交ぜるセンスの良さが歌の全編に発揮される、これぞポップスという名曲です。
この曲→オアシスの“Fade Away”→ラルクの“Stay Away”→放課後ティータイムの“ぴゅあぴゅあはーと”と聴いていくと、どの曲も混じって最後まで思い出せなくなります(笑/パクリだ!と咎めるつもりは全くありません)
1985年の名曲
USA For Africa / We Are The World
マイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーが共作した楽曲で、彼らを含めた45人のトップアーティスト達が夢の共演を果たした、歴史上最も有名なチャリティシングル曲です。王道のバラードながら参加者の迫力もあってより胸に迫る作品となっています。
コロナ禍に見舞われた2020年、ライオネルが再録音を意図していたという話がありましたが、果たして・・・?
Starship / We Built This City
アッパーなエイティーズ感満載な名曲で、ローリングストーン誌による”The 10 Worst Songs of the 1980s”において堂々一位となりました。もちろんこれは愛されるがゆえの逆張りですね。邦題の“シスコはロックシティ”も実に頭空っぽな感じで最高(笑)
Jefferson Airplaneからの流れを知るファンには厳しく見られたようですが、そもそもAirplane→Starshipというバンド名の変遷からして・・・おっと。
Tears For Fears / Shout
ニューウェイヴ~シンセポップの潮流にある代表的なバンドによる名曲。独特なサイケロック感覚もあり、個性的なサウンドは時代を超えて支持されています。
今年(2022年)18年振りとなるアルバムを発表。年輪を重ねた円熟のサウンドでロックの原始的な興奮は薄いですが、今の時代でも音作りが変われば新鮮な感覚を与えてくれるという確立された個性は素晴らしいです。
1986年の名曲
Madonna / La Isla Bonita
幻想的な歌詞と緩やかなビートに乗ったラテンのロマン溢れる曲調がひたすらに美しい。収録アルバムTrue Blueはそれ以前のマドンナよりも大人なイメージが強く打ち出された作品ですが、その中でも歌い方も含めて新たな魅力に気付かせてくれる名曲です。
次作でよりアーティスティックな才能の開花を見せますが、個人的には伝統的なポップスフィールドにあるこの時代が一番好きです。
BOØWY / B・Blue
軽快かつ明快なビートに乗って純真な別れを歌う、ある意味Jpopの典型を作り上げた名曲。ヴァースパートはコードのクリシェ進行の典型としても学びになります。
世代的に後の私ですが、その道を好きになった者として当然中高生時代に入れ込みました。個人的な思い入れだとSランクに入れるべきだったかもしれませんが、楽曲単位で聴くことは少なくなっているので・・・
1987年の名曲
Michael Jackson / Bad
“KING OF POP”マイケルが最も輝いていた時代の名曲。特徴的なイントロのオーケストラヒットを聴くだけで反応してしまい、普段全くダンスに縁が無い人間でも踊らせようとするグルーヴが最高です。そして何より唯一無二なマイケルのパフォーマンス!
1990年代後半からが青春時代の私にはスキャンダルだらけの彼が真にスーパースターだと気付くまで時間が掛かりました。今はそのような雑音が無い分、より純粋に彼の魅力に触れられると思います。
George Michael / Faith
Wham!解散後に本格的なソロ活動を開始したジョージのアルバムタイトルともなった一曲で、アコギのストロークをベースとした軽快なサウンドにエモーショナルな彼のボーカルが乗る、シンプルで気持ちの良い名曲です。短いのでなり切りカラオケにもおすすめ(笑)
1990年代以降はよりアダルト・コンテンポラリーな方向へ行き本国イギリスで根強い支持を得る彼ですが、この時代の軽快なポップス路線ももう一度期待したかったですね(もちろんQueenとの共演ももっと・・・)
1988年の名曲
Roxette / Listen to Your Heart
ペール・ゲッスルとマリー・フレデリクソンによる音楽デュオによるバラードの名曲。ロマンティックな旋律はスウェディッシュ・ポップセンスを代表するもので、マリーの美しくも力強いボーカルが胸に迫ります。
2005年にDHTによるダンサブルなテクノアレンジカバーが全世界でヒットしました。当時BSの洋楽番組で観て、シーンからの浮き具合にびっくりした記憶があります(当時は特に抑揚の無いR&Bが主流だったので)
1989年の名曲
Billy Joel / We Didn’t Start The Fire
ポップで爽快な旋律に乗せて、アメリカ現代史(WWII~当時)に関連する人物や事象を列挙していく古今東西的な歌詞がリズミカルに紡がれていく異色の名曲。これぞ発想の勝利と言いたくなるアイデアですが、具現化する力はやはり非凡な才能があってこそ。
邦題の“ハートにファイア”は流石にひどいと思う(笑)歌の内容聴いてから、どうにかならなかったのでしょうか。
以上、19曲をご紹介させて頂きました。
エイティーズ的な音楽は今現在でも受け入れられるポジティブさに溢れています。その裏でマニアシーンはどんどん余所者を受け入れない排他性を増していったのですが・・・それはまた別の機会に。
しかしこうしてPVを並べてみて思うのは、音楽はともかくファッションはもう完全リバイバルはしなさそうな気がするけどどうなんでしょうね。
おまけ
SSランク/Sランクの1980年代ヒット曲(多いので一部抜粋)






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